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第24回 東京小説読書会の報告


こんにちは。uranoです。 課題図書型の読書会、6回目は有川浩『阪急電車』で開催しました。

前回の『後妻業』がまさかの参加者2名(※主催者のみ)だったので、「ならば人気の有川浩さんで」「それも読みやすい『阪急電車』で」と決めたところ、課題図書型で初のキャンセル待ちが出るほどでした! 有川浩、強し!

だけど、個人的には開催に多少の不安を感じていました。 というのも、課題図書には、読者ごとに多様な感想をいだく作品がふさわしいと思っていたからです。 『阪急電車』は明るく爽やかな作品ですが、テンポがいい反面、心理描写の掘り下げが今ひとつで、議論が深まらないかもしれないと思っていました。 ところが読書会が始まってみると、そんな心配をよそに、参加者からさまざまな感想が聞かれました。 「140万部も売れたということは、世の中には『電車で乗り合わせた人と仲良くなりたい』と思っている人が多いことの証ではないか?」 「誰もがもつ『恋愛したいニーズ』に応える内容だったからこそ、売れたのでは?」 など、大ベストセラーとなった理由を探る声。 「高校生や大学生の恋愛描写がくすぐったくて直視できなかった」 「電車で読んでいて、どんな表情をしたらいいのか迷った」 などと、キュンキュン描写に若干、戸惑ったという声。 また、 「『阪神電車』ならどんな乗客が描かれるのか、読んでみたいと思った」 「映画化されたけど、それよりも舞台化したほうが面白そうだと感じた」 など、創作に関する声。 なかでもツッコミが集中したのが、「たこ焼きの2人」こと圭一と美帆。 とくに文庫版のp.127とp.190の読解に、開催時間の30%くらいは当てたのではないでしょうか。 それほど、この2人の会話はハイレベルでした。

読書会のあとは「ジョッキで行くなら――今日やろ!」(p21)という文章に背中を押され、軽く2、3杯飲んで散会しました。

次回の課題図書型読書会は2月の予定です。 12月、1月は「直木賞マラソン」に没頭しますので、ご容赦ください。 課題本が決まり次第、アップさせていただきます。

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