top of page

第20回 東京小説読書会の報告


こんにちは。Uranoです。 遅くなりましたが、第20回の読書会のご報告をいたします。 今回は通算四度目となる課題図書型の回でした。 課題本は三浦しをん著『舟を編む』です。 本屋大賞を受賞し、映画化もされたので、ご存知の方も多いことと思います。

内容は辞書づくりのお話です。収録語数は約20万という設定ですから、広辞苑クラスの大型辞書ということになります。 前半は、玄武書房社の営業部から辞書編集部に異動した馬絞(まじめ)光也が辞書づくりに着手するお話。後半はそれから13年後、いよいよ完成するという段階のお話でした。

トータルおよそ15年間を描いているので、登場人物もその都度変わります。 主人公はいちおう馬絞なのですが、私が思うに印象が薄くて、そのことを振ってみるとおおむね同意いただけました。 そして、「冒頭に出てくる馬絞の大先輩、荒木さんが主人公ではないか?」 「脇役に見えて、西岡が主人公。ここまで活躍したら脇役とは言えない」 といった意見が飛び交いました。(※くわしくは本書をお読みください)

また、前半では馬絞が運命の人、香具矢(かぐや)と出会います。 そのくだりについて、「漫画チックすぎる」「いやいやこの漫画っぽい描写がいいんじゃないか」といった話で盛り上がり、後半の見せ場である辞書づくりのシーンでは、「用紙を選ぶ描写がリアルで、実際に触ってみたくなった」と、皆さん異口同音に話していました。

なお、今回は三浦しをんファンの方にもご参加いただきました(参加者は計5名)。 ファン氏によれば、本作は★×4とのこと(5点満点)。 満点は『風が強く吹いている』と『月魚』だそうです。

前者は私も読んでまして、「確かに『舟を編む』より上かも」と思いました。 いずれ『月魚』も読んでみようと思います。 三浦しをん作品は、確かな文章力と構成力に裏付けられた「力技」的な一面をもちながらも読後感がさわやかで、皆さまにもオススメです。

P.S.閉会後、開催20回と一周年を記念して、ささやかながら祝宴を開きました。 宴席のお酒によって記憶が若干飛んでしまい、報告が遅くなりましたことお詫びいたします。 こんな小説読書会ですが、今後ともよろしくお願いいたします。

次回の課題図書型は黒川博行著『後妻業』をテーマに、10月19日(水)19時より行います。

bottom of page