第17回 東京小説読書会with本が好き!の報告
こんにちは。 Uranoです。 通算3回目となる、書評サイト「本が好き!」さんとのコラボ読書会を開催しました。 課題本は現代SFの金字塔といわれる『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン著、池央耿訳)。 初の海外小説、それもSFに挑戦です!
本作の発表は1977年。舞台は2030年代で、「月面探査中に人間の死体が発見された。しかも年代測定したところ、5万年前の人類だった!」というところから始まります。 その謎解きが物語のキモ。宇宙モノの小説なのに研究者たちが議論する描写が妙に印象に残って、読書会でも「事件は宇宙で起きているのか、会議室で起きているのか!?」といった話で盛り上がりました。
物語はほぼ全編にわたって、この謎に向き合う研究者たちが自説を述べ、矛盾にぶつかり、新たなロジックを見出し、新説を展開し、再び矛盾にぶつかり(以下略)・・・という構成になっています。 私は「これほど『知りたい欲求』を文章化した小説は、読んだことがないなぁ」と感心しきり。 参加者の中からも、「終盤で4つの説が紛々するところがおもしろい!」といった感想が聞かれました。 もちろん、「ハントとダンチェッカーが歩み寄るところにグッときた!」「コールドウェルは理想の上司だなぁ」といった、人間ドラマに着目した健全な(?)感想も集まりましたよ!
本作には月世界や木星など、神秘的な宇宙の描写もあるのですが、やっぱり個人的には「会議室」の印象が強いんだよなぁー。 2030年代になっても、やっぱり事件は会議室で起きるのですよ。 本作は、そんな近未来を予言しているのですよ。 ・・・ひねくれた読者で、すみません。
さて。 6月にスタートした「本が好き!」さんとのコラボ読書会は、今回をもって一区切りとさせていただきます。
しかし「みんなで同じ本を読むのはおもしろい!」と味を占めた私たちは、引き続き課題図書型の読書会を継続してまいります。
次回のテーマ本は『舟を編む』(三浦しをん著)。 開催は9月21日(水)20時からです。 皆さまのお越しをお待ちしています。